教師と学生のオンライン交流会

 

 

 広島の会がコロナ禍のもとで3年前から始めたオンライン証言会の発展のなかで、「広島やその他の地域ではどのような平和教育がおこなわれているのか知りたい」(小学校教員)、「自分の出身県では平和教育があまりなかったので学校現場での先生方の平和教育の実践に学びたい」(広島で学ぶ教師志望の大学生・島根県出身)といった要望に応えて、広島を基点に被爆体験に学ぶ平和教育に関心をもつ全国の教員と学生の自由な実践と意見交流の場をつくることになりました。今年の5月に現職教員と教員志望の大学生の第1回オンライン交流会をおこない、8月には第2回を開催しました。

 この2回の交流会には広島県と県外の小中学校の現職教員と広島県内の大学で学ぶ教師志望の大学生が参加して、学校での平和教育の実践報告を中心にしながら大学生の質問にも答える自由な意見交流をおこないました。この交流会は年に4回程度のペースで継続し内容を発展させていきたいと考えています。関心のある方、参加を希望される方は、原爆展を成功させる広島の会のホームページのお問い合わせフォーム、または会のメールアドレスにお問い合わせ下さい。

 以下にこれまで2回の交流会でだされた参加者の意見から一部を紹介します。

 


 

「子どもたちが自分で課題をみつけ、調べて、発信するように平和教育に取り組んでいる。平和教育で子どもたちに何を伝えるかという授業のねらいとしては、本物に出会わせたいということが第一にある。それは人であり、物であり、場所である。コロナの前までは広島に行って広島の会の被爆者の方から直接話を聞くことができたが、コロナになってからはそれが難しくなった。でも本物にはこだわりたいということで、昨年広島の会にお願いして二人の証言者からオンラインで話を聞くことができた。授業の過程では戦争体験者である学校ボランティアの方へのインタビューもおこない、自分たちが通っている学校が大阪からの疎開児童を受け入れていたことも学んだ。子どもたちが自分で課題を見つけて調べていくときに、どうサポートするかで迷った。教師の方が伝えたいことが大きくなりすぎると押しつけることになりがちでそこは注意が必要だと思った。また、他の人に伝えるということが重要だと思っているが、コロナのもとで十分な機会を作ることができなかったのが課題として残った。」(小学校教員)

 

「平和教育というものがないので、一昨年の12月に6年生の歴史の授業の最後の方で第二次大戦のことを学んだうえで子どもたちに被爆体験をオンラインで聞かせることができた。オンラインであっても生の声を聞けるということで子どもたちに与えた印象は強かった。今受け持っている子どものお姉ちゃんが一昨年のオンライン授業で聞いたことを覚えていて、下の子が今年は被爆者の話がきけないのだろうかと期待している状況がある。小規模校なので、今後は地域の他の学校もまきこんで一緒に被爆者の体験を学べるようにオンラインでの平和学習を広げていきたい。被爆者の生の話は伝わってくる熱量が違うのでとても重要だが、これからのことを考えると、被爆2世・3世や大学生など原爆を体験していない人が伝えようとしていることも聞かせることができたらうれしい。」(小学校教員)

 

「今20代の若い先生が増えていて、忙しい中でも自分たちで平和教育をしていこうという雰囲気が強まっていると感じている。戦争がおきないように、戦争はダメ、核兵器もダメということを伝えていく平和教育は絶対に必要だと思っている。今年の8月6日には平和式典での広島市長の平和宣言と子どもの平和の誓いをTVで視聴し、原爆に関するアニメを見たあと、子どもたちに平和に関する五行詩を書かせる取り組みをした。素晴らしい文章を書く子どももいて、子どもたちが戦争や平和について真剣に考えてくれていることがわかった。平和教育を通じて、平和をつくるということはどういうことなのか、子どもたち自身が考えて動き出すようになることを期待している。広島にいて被爆証言をしてもらうことのできる環境が身近にあるのはありがたいが、その環境を活用してどのように子どもたちに考えさせ、成長につなげていくか、可能性は無限大です!」(中学校教員)

 

「子どもたちはパンフレットや壁新聞を作ったり、目の前に友だちに一人一台のタブレットを使ってプレゼンテーションをしたりする。5年生でもパワポを使いこなしている。しかし、何を伝えるためのパワポなのか、プレゼンなのかが大事なことで、形にこだわらないように指導することに気をつけている。何のために、誰につたえるのか、という目的を子どもたちに持たせることが重要だと思っている。」(小学校教員)

 

「自分が通っていた広島の中学・高校では平和教育が充実していて、そこで教えてもらったことや聞いた話が、今自分で平和について活動していきたいと思うきっかけになっている。なので、自分が教師になったときにも、子どもたちがそう思えるような平和教育ができるようになりたい。平和という難しいテーマをどう伝えていったらよいのか自分のなかでまだよくわかっていないので、現職の先生の経験を聞いて学ぶことができたらうれしい。」

(大学3年生、女子)

 

「中学校の国語の先生をめざしているが、出身の兵庫県では平和教育にあまり関わることがなかった。広島で原爆のことを学ぶようになって、自分が教師になったときには平和教育を通じて子どもたちに教えていきたいと思っている。まだ知識が不足しているので、この交流会で学んでいきたい。平和教育というと原爆につなげてしまうが、原爆以外のテーマの実践も聞いてみたいと思っていた。今日は、日頃疑問に思っていたことが聞けてとてもよかった。」                           (大学3年生、男子) 

 

「自分の出身の大分県では8・6登校があったので、他の県ではないことを知って驚いた。自分は同じ九州なのになぜ8・9はないのかと思っていたので、余り平和教育が盛んでないと思っていたが、他の大学生の話を聞いて他県と比べたらまだよい方だということが分かった。」(大学3年生、女子) 

 

「今日の話を聞いて、教師自身が平和についてしっかりとした考えや思いをもつことが大事だということをあらためて感じた。」(大学3年生、女子)